制作Hです。
「『間宮兄弟』の母・順子役に、中島みゆきさんの出演決定!」
去年の梅雨のさなか、アスミック・エースでその知らせを聞きました。
実は、酔うごとに名曲『ファイト!』を熱唱し、『夜会』のチケットだって必死に手に入れる僕(大阪BRAVA!も行きたかったです…)。
その瞬間、心の中はもう上を下へのお祭り騒ぎの“ひとりウェーブ”状態。
「お会いできる。中島みゆきさんに、会えるんだーーーっ!」
間宮・母の出演場面のうち、ひとくだりは静岡ロケ。兄弟が、母の暮らす故郷に帰省する場面です。
新富士駅前(ロールスロイスでお出迎え)、お茶畑の中の岩本山公園周辺(中島さんの運転シーン!)と、ロケハンも順調でした……そこまでは。
苦戦したのが、実家に見立てる家と、海水浴をする兄弟を母が見守る砂浜。
監督を交えての一度目のロケハンは、ロケ地を決められないまま帰京しました。
兄弟を“おかえりなさい”と迎えいれる縁側と、母が“スカートの裾を 潮風に投げて”佇む砂浜を探して、静岡の海岸線と付近の町を巡る日々が、それからしばらくつづくことになります。
映画作りは、企画の立ち上げから公開に至るまで、様々な人が関わる大きな流れです。僕はその流れに泳ぎ合わせた一匹の小さな魚にすぎませんが、それでも、小魚なりに身をよじって泳ぎたいと、思っています。
ロケハンの収穫がなかったその夜も、静岡のホテルで安酒を口にしていると、制作アシスタントのMくんからの電話。
「元気ですか…。監督も心配してます。Hのヤツ、行き詰ってんじゃないかって」
そんな電話や、
ほかならぬその歌声に励まされながら、牧之原のあの“縁側”と、御前崎のあの“砂浜”にたどり着いたのは、さらに何日か後のことでした。
ロケ中に拝見した佐々木蔵之介さんの車にも、みゆきさんのCDが!さすが蔵之介さんです、『大吟醸』でした。「なんかデキすぎ」って言われそうですが
「私、本当
はに目撃したんです!」