こんな時間に感慨にふけっております。日曜日の朝、競馬新聞も読まず、こうして真剣に自分を見つめているのは久しぶりです。「間宮兄弟」本当にすばらしいスタートでした。舞台挨拶が終わり、関係者のささやかな初日パーティの席上、にわかに、それぞれの表情が興奮してきたのです。各地からの観客数の報告が入るにつれ、その表情が幸福感に満ちてきたのです。
僕は20代のほとんどを映画館でバイトしていました。お客さんがたくさん入ると、窓口の人、売店の人、映写係の人、清掃の人、営業の人、映画館で働くみんなが幸福な顔をしていたのです。その反対に、お客さんが入らないと、みんな寂しそうでした。ヒットする映画はみんなを幸福にする。僕は映画監督になってからも、その体験が深く影響していました。例え賞をもらえるようないい映画を撮っても、その映画がヒットしないときは、みなさんに申し訳ない気持ちで一杯になっていました。僕はだからこそ映画の宣伝、キャンペーンには努力を惜しみません。そのため、宣伝部とぶつかることもあります。うるさい監督とも言われます。でも目的は一つです。自分たちの映画をより多くの人に見てもらいたい!その結果はプロセスが熱いものであっても残酷です。初日の幕が開き、数字が悪ければ、自分たちの努力がむなしく感じられるのです。たくさんの人を相手にする作品の宿命です。今回「間宮兄弟」の主演の佐々木蔵之介さんと塚地武雅さんは、お客さんに前売りを買ってもらうためにサインを何百枚も書きました。ポスターにも。取材にももてなしを大事にして、まるで間宮兄弟そのもののピユアな宣伝活動でした。舞台挨拶もパターン化されたものでなく、お客さんがよろこぶひとときを提供しました。その気持ちが宣伝全体に伝わった好結果とも言えます。取材をしていただいた皆様、製作委員会の皆様、音楽関係の皆様、宣伝協力していただいた皆様、本当にこの場を借りてありがとうございました。もちろん、「間宮兄弟」は始まったばかりですが、この好発進の勢いを自信に代え、より多くのお客様に「間宮兄弟」の暖かさ、ユーモア、けなげさをみんなで伝えましょう!まずは初日を迎え、監督として、早朝しみじみと雑感を語らせていただきました。これから公開される地方の関係者の皆様、ぜひ、大きな希望を持って、初日をお迎えくださいませ。
初日からかけつけてくれた、お客様、本当にこうした気持ちを僕に与えていただいて何よりの感謝です。「間宮兄弟」は一つのライフスタイルであり、マインドです。見ていただいたお客様はもう、関係者です。なにとぞ、より多くの人にライフスタイル、マインドが届くよう一緒にがんばりましょう!!!
皆様、本当にありがとうございます。
「間宮兄弟」監督 森田 芳光